経済 ECONOMY 働き方改革 ”人材”育成 海事産業に挑む女性を応援
2018/11/19
担い手不足、高齢化深刻「男の仕事」のイメージ定着
比率は海運2%、造船5%
多くの業界と同じく、国の基幹産業である海事産業も人手不足と高齢化が深刻だ。 人材確保に各企業が努力を重ねているが、担い手として期待されている女性の就業が進んでいない。 現状を紹介するとともに、女性の活躍推進の重要性と今後の対策について、国土交通省の交通政策審議会・海事分科会長などを務める、 早稲田大学法学学術院の河野真理子教授に聞いた。
海事産業とは、海運や造船、船舶部品などを製造する舶用工業の総称で、 海に囲まれた海洋立国・日本にとって欠かせない産業だ。
外航海運は輸出入貨物の99%超、内航海運も国内貨物の役40%の輸送を担う。 また、国内旅客船は年間約9000万人が利用し、日本経済や国民生活に大きな役割を果たしている。
一方、造船業は世界最高峰の高品質な船を供給し続け、国の輸出部門の一角を占める。 また、製造部門の海外移転が進む中、造船業者は国内に生産拠点を維持し、瀬戸内海や九州北部地域 などで舶用工業の事業者が集積する「海事クラスター」を形成。 地域経済と雇用の支柱となっている。
そんな海事産業の課題の一つが”人材”だ。 顕著な例として乗組員、予備船員を合計した内航・外航の船員数は、20年前の4万4000人から、 現在の3万人と減少。 また、特に内航船員は50代以上の比率が50%と高齢化も著しい。
団塊の世代の大量退職を控えた2000年ごろから海運、造船、舶用工業の各業界は人材確保・育成の取り組みを強化。 ここ10年の労働者数は横ばいだが、他業種に比べて女性の比率が2%、造船5%などと低い状況が続いている。
その原因を、国交省は「ロープの固縛やホース荷役、溶接、重い資材・機器の使用など身体的負担の大きい 作業が多いイメージが定着している」と強調。 他業種以上に「男性中心」の色彩が濃いことを指摘する。