東洋経済の記事に協同商船㈱がとりあげられました。 いずれは女性船員だけで1隻運航させたい 消える内航船、静かに進む「海の物流危機
2018/10/28
その中でもいち早く女性乗組員の育成と、それに伴う船舶のインフラ整備を手掛けてきた協同商船㈱が、 東洋経済
ONLINE の”消える内航船、静かに進む「海の物流危機」”に記事として取上げられました。
協同商船㈱の代表取締役専務)福田正海は、「結婚を機に辞めることも多いが、いずれは女性船員だけで1隻運航させたい」と 熱いコメントをしている。
東洋経済 ONLINE>> 消える内航船、静かに進む「海の物流危機」
深刻なのは、国内産業の基礎物資輸送の要である内航海運で事業継続が危ぶまれる事業者が増えていることだ。 海外の港を行き来する外航船と異なり、内航船は日本国内の港から港へモノや人を運ぶ海運業者だ。
鉄鋼や石油製品、セメントなど国内の産業基礎物資輸送の約8割を担う。 災害などで陸路が寸断された際には代替輸送を行うほか、
環境負荷軽減に向けたモーダルシフトの受け入れ先としても期待されている。 内航船の船員数はバブル崩壊後の景気低迷に伴い、
1990年の5万6100人から2016年には2万7639人へ半減。
その一方で輸送量は2010年以降、3億6000万~3億7000万トン程度で下げ止まっており、
現状の船員規模を維持する必要がある。しかし、年齢構成をみると心もとない状況だ。
船員の過半数は50歳以上
内航船員の7割強を占める貨物船の場合、50歳以上が53%、60歳以上も28%を占める。 一方、30歳未満の若手船員は16%にすぎない。 いびつな年齢構成になった背景には、内航船員は日本人でなければならないというルールがあるからだ。 1899年(明治32年)の船舶法制定以来、内航船は経済安全保障上の観点から日本籍船に限定され、 外国人船員も認められてこなかった。 一方、運賃がドル建ての外航船は、 1985年のプラザ合意後の円高をきっかけにコスト削減策として外国人船員の採用に舵を切った。
内航海運は、外航海運の外国人船員化と漁獲制限に伴って漁船からあぶれた日本人船員の受け皿となった。 バブル崩壊後の輸送量減少で新造船が減ったこともあり、 人手不足とは無縁でいられた。 「即戦力を採用できたので、長らく船員育成に力を入れてこなかった」(内航船関係者)ため、 今そのツケが回ってきた格好だ。
航海士や機関士になるには国家資格の海技士免許が必要で、 船の大きさや航行区域に応じて1~6級に分かれている。 小型の内航船であれば6級から乗ることができ、 4級を持っていれば比較的大きな船の船長になれるが、 免許取得には乗船履歴などの条件をクリアする必要がある。 内航船員を養成する代表的な教育機関に海技教育機構があり、 中学卒業者を対象にした海上技術学校4校と、 高校卒業者以上を対象とする海上技術短期大学校3校、 海技大学校を擁する。 技術学校では3年の修業期間終了後に6カ月の乗船実習を受けると、 4級の航海士か機関士の免許を取得できる。 短大も乗船実習を含め2年で同様の免許が取得可能だ。
船員1年目の手取りは月25万円
貸渡事業者の6割が「一杯船主」
オペレーターは2018年3月時点で1515事業者おり、 主に荷主である石油元売り会社や鉄鋼会社などの系列に属する上位60事業者が総輸送量の8割を契約している。 一方、オーナーも1470事業者いるが、その6割程度が主に小型船を1隻のみ保有する「一杯船主」だ。 大型船を複数保有するなど事業規模の比較的大きいオペレーターやオーナーは、 船内環境を含めた待遇の良さをアピールできるため、「船員採用ではそれほど苦労していない」(内航海運大手)。 海技教育機構の卒業生も大手事業者を中心に入社していく。 深刻なのは一杯船主を含めた小規模事業者だ。国交省の調査では船舶1~2隻、 船員20人未満の事業者では50歳以上の比率が6割を占め、60歳以上の船員も34%に達している。 こうした小規模事業者の中には、 「とうちゃん船長、かあちゃん機関長」と呼ばれてきた家族、親族だけで運航するオーナーも存在する。
船員が辞める理由として、もっとも多いのは人間関係と内航海運関係者は口をそろえる。 小規模事業者は若手の船員に来て欲しいが、せいぜい5~6人乗りで年齢が高い船員ばかりの小型船は敬遠されがち。 一杯船主だと人間関係がこじれた際にほかの船に移ることもできず、待遇も見劣りがする。 一方、オーナー側も“促成栽培”で経験不足の若手船員を雇うことに不安を覚えるうえ、少人数運航では育成する余裕もない。 内航海運オーナーの営業利益率は1.3%と全産業平均の約3分の1にすぎない。 1隻数億円以上する船の建造費も借り入れで賄っている状況だ。 後継者難、船員不足となれば事業継続は難しくなり、実際、一杯船主は2005年から10年間で39%減少した。